花と音楽のある暮らし

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2010年8月21日土曜日

10.08.21 乗鞍スカイライン&ご来光

10.08.21乗鞍スカイライン


今年の乗鞍は午前スタート、午後スタートのエコーライン/スカイラインと選択肢が増えたので、その分あれこれ考えて迷ってしまった。
エコーラインは去年参加したのでだいたい様子は分かる。
スカイラインも経験してみたいが、エコーラインより平均斜度でも1%上回る7.3%だ。
これで21km走りきるのは難しい。
幸いスカイラインコースは平湯峠をスタートとするショートコースが設けられている。
これなら楽しんで走ってこられそうだ。


21日(土)ゆっくり出かけて11時までに到着、いろいろ準備に掛かっても12時の集合には間に合うだろう。
今回はこれ1本にして、あとはずっと気掛かりだった乗鞍のご来光を是が非でも体験してみたい。
調べてみると夜中の3時半頃に、ほおのき平発乗鞍畳平行きのバスがある。
車中泊と防寒具の用意をして当日を迎えた。

朝は7時~7時半に出発すれば間に合うのだが、すっかり準備が整って、家でぶらぶらしていても仕方ないので、6時40分にはほおのき平に向かって出発。
一般道も東海北陸自動車道も中部縦貫自動車道もすべて順調に走行できたので、9時半にはほおのき平駐車場に到着してしまった。

第1駐車場は全国各地からのナンバーで満車だった。




ほおのき平スキー場は今は緑に覆われて、一部コスモス園として運営されている。

集合場所の第3駐車場へ行ってみると、NPO北條さんの車が停まっていた。
北條さんも午後の部のスカイラインコースだ。
ほかには誰も来ない。午後の部は人気がないのかなあ。
12時近くになって、貸切の大型タクシーに乗って電ちゃんたちがやってきた。
今日も熊が出て、午前の部のエコーラインも暫らく足止めを食って、時間を遅らせて三本滝からのスタートにしたそうだ。

エコーラインを完走後、こちら側に下りてきて、午後の部のスカイラインにも参加するという人達が到着しだした。
Ohbaya4さんや9noQさんも来て、本日のスカイライン午後の部は総勢13名。
うち、私とOhbaya4さん9noQさん、もう一人マウンテンバイクの人の4名が平湯峠からのショートコースということになった。




ロング9人のスタートを連続写真に収めてから、車で平湯峠に移動。
ずっと急な上りが続いている。一旦速度を落とすと、加速するためにはアクセルを床まで踏みつけなければいけないほどだ。
そんな道を自転車が走っていく。
ショートにして正解だったな。ロングにしたら平湯峠に到着するまでに脚を使いきってしまったに違いない。




13:35平湯峠スタート。
暑い。陽がカンカン照り付けてくる。
平湯峠でも1000m以上あるから涼しいんだとばかり思っていたのに、とんだ誤算だ。
最初から汗だくだ。
なんだか頭がぼーっとして、視点が定まらない感じ。



緩いところでは写真を撮ったりして気を紛らわせながら進むと、ちょっと陰になったところや霧が流れてくるところでは涼しさに救われる。

だがスカイラインコースは林道というのがほとんどなく、基本的に日当たりの良い道路なのだ。

完全にへばってしまって、速度もずっと1桁だ。ロングの人たちにあっさりと抜かれても追いかける気力がない。
気分転換にダンシングを試みても、やはり呼吸が苦しい。
問題は心肺機能の衰えだな。

最後、ゴール手前は若干下り坂なのか、急にペダルが回るようになる。
慌ててアウターにして思い切り回す。ここだけすごく気持ちいい。
気持ちいいまますっ飛んでゴール。
Maxは31km/hに達した。
つらい道程も最後に救われたな。


ほおのき平に戻って、日帰り温泉でゆったりと心身を癒す。
大きなガラス張りのきれいな温泉だ。
緑のスキー場が見渡せる。
そういえば昔、何度かここへスキーに来たっけ。
結構雪質もよくて楽しいゲレンデだった。40度を超える斜面もあって、ビビリながらも挑戦したりしていた。
スノーボードが流行って、スキー板もカービングに代わった頃からスキーが遠のいてしまったな。



車中泊するために車内を整理していたら、向かいのホテルのベランダから呼んでいる人がいる。
オカポンさんだ。
2階へおいでというので上がっていったら、大きな和室に家族でくつろいでいる所だった。
家族旅行と自転車と、一度に両方楽しめていいですね。
応援も兼ねているらしい。
本当に仲の良い家族「愛」だ。

ホテルのレストランで早めの食事をして、今日は泊まりだし、バスに乗せていってもらうだけだから少しはビールを飲んでもいいか。と思ってレストランを覗いてみると、ここは宿泊客だけしか利用できないとのこと。
それならば近くに食堂はないかとたずねると、高山市内まで行かないと食堂はないという返事が返ってきた。




こうなったらコンビニ弁当でも仕方ない。カーナビでコンビニを出すと、17km先にデイリーマートがある。そういえば来る時に「最終のコンビニ」と看板が出ていたっけ。
これだけご来光ツアーや登山客が来るのだから、もう少しお客さんのための施設があっても良さそうなもんだが。



コンビニから帰ったら駐車場は真っ暗。
満月でもなく、きりっとした三日月でもない亡羊とした月と、オカポンさん家族の泊まっているホテルの窓だけが黄色い光を放っている。
車内で一人きりの寂しい食事を済ませ、暇つぶしに購入した週刊誌も読む気にならず、早々と寝袋に入った。


時々出入する車の音や人声で起こされながら、ひたすら2時を過ぎるのを待つ。
2時半に起きだしてご来光ツアーの準備。



3時過ぎた頃バス乗場の明かりが点き、客が並び始めた。
補助席も全て使って満席だ。
乗り切れなかった人は次の、平湯から来るバスに乗ることになるらしい。
ご来光バスはこちら側からは3台準備しているそうだ。



畳平駐車場入口あたりに陣取る。
ウィンドブレーカー1枚では寒い。気温が低い上に風が強烈に吹き付けている。もう1枚重ね着して、道路側へ降りると、ちょうど石壁が風除けになっている。




山際がくっきりと浮かび上がってきた。静かな感動を呼ぶほの白い光の演出だ。
そのうち水平線に赤い帯が見えてきた。
真っ暗だった空がやがて青みを帯び、遠くの嶺の形が現れる。その地上と空をくっきりと、1本の赤いラインが区切っている。
赤みの領域が広がってくると、いよいよ朝日が顔を出す。
完全に地上に顔を出すと、周りを赤く染めながら、太陽自身はその高熱のためか白く輝いている。









今日、今、この場でしか味わうことの出来ない感動。頭の中で静かに音楽が流れていく。


ふと気づいて後方を振り返ると、すでに辺りはすっかり夜明けで、山も人も朝の光を浴びている。
昼間とは明らかに違う、朝日の色を照り返している。






陽が昇ると上空は雲ひとつない真っ青な空。これ以上はない完璧な青空だ。
標高3000mの剣ヶ峰を目指す。
標高差300m1時間半の行程だ。
今日はデジカメ2台、予備バッテリーも持ってきた。
歩きながらあちこちで手当たりしだいシャッターを押す。

どこを見ても、どの方向にカメラを向けてもすべて美しい。


















空気が薄いせいか、昨日のヒルクライムの疲れが残っているせいか、このくらいの登りですら息が荒い。

頂上の乗鞍本宮の周りは狭い場所だが、人が大勢座り込んで、思い思いに写真を撮ったり、おにぎりを食べたり、山々の名前を言い合ったりしている。

登山のベテランの人から見ても、これほど美しく遠くの山や嶺を見渡せるのは珍しいことらしい。
しかも眼下には峰の間を埋める波のように雲海が広がり、まるで何者かが意図的に、あるいは意図したとしても叶わぬほどの完璧な造形美を繰り広げている。
これが大自然の力というものなのか。







帰りのバスの車窓から22日午前の部スカイラインを上って来る仲間の写真を撮ろうと、窓際の席に着いた。
そのうち荷揚げ用の大型タクシーを見つけた。シャッターを切った時には半分通り過ぎて、車の後ろがかろうじて写った。
その後を追うように先頭の自転車が上って来る。速い。さすがにペダルがクルクル小気味よく回っている。
あっという間に通り過ぎてカメラには入らなかった。
まじめ少年さんも上位につけてきたが、これも撮影失敗。ほとんどバスの真横を1~2秒のうちに通り過ぎてしまうので、見つけたときにはすでに遅いのだ。

乗鞍の景色は捨てる画像が1枚もなかったのに、このレースの写真は3分の2は捨てる羽目になった。


こうして2日に亘る今年の乗鞍は終了した。
これほど目論見どおりに事が運ぶのは稀なことだろう。
自身のヒルクライムの出来はちょっと不甲斐ないものだったが、これは今の自分の力。練習量から見てもまあ、当然の結果といえる。
ご来光、剣ヶ峰登山。今年のこの日以外にはこれほどの乗鞍に出会うことはなかったろう。
頂上の乗鞍本宮のおみくじも「大吉」
この夏の最高の贈り物。

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