花と音楽のある暮らし

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2019年6月15日土曜日

身内の結婚式で無謀にもフルート演奏

梅雨入りしても金曜日まではなんとか晴れ。
しかし土曜日だけはどう転がっても雨の予報。
しかも80%~90%の高い確率。

朝からの雨を覚悟していたが、出掛けるときは曇り空。
折り畳み傘を用意して電車に乗り込む。




名古屋港ガーデンふ頭にある結婚式場に到着すると、担当のUさんが挨拶に来てくれた。


実は今日はサプライズで、披露宴でフルートを吹くことを企てていた。
快く引き受けてくれたUさんが、タイミングを見計らって、披露宴会場に案内してくれた。
伴奏用のCDを渡して、まだスタッフも準備の余念がない中、練習をしてみた。


主役の席の左側、ピアノの置いてある近くに、楽譜スタンドの位置を決めてCDを流してもらって吹いてみた。
フルートの音は会場中にちゃんと聞こえるというので、楽譜もフルートもそのばに預けて本番を待った。


全員集まってチャペルに行くと、入口のところで名古屋笛の会のT.A.さんと出会った。
「あら、YMDさん、なぜここに?」
「身内の結婚式なんです」
その結婚式が始まると、灰色の雲に覆われていた空から光が溢れ出し、青空すら見えてきた。
列席者からも感嘆の声があがる。
T.A.さんのフルート演奏も賛美歌も素晴らしかった。



披露宴会場に移り、主賓の挨拶、乾杯のあと、司会者が会場を回って主役との関係や思い出を聞いたりしている。
突然マイクを向けられても、堂々とした、あるいは軽妙な応答。
でも前もって指名されていたわけではなく、司会者との自然なやり取りだったらしい。


「もうひとつサプライズで、YMDさんがぜひお二人にフルート演奏をご披露してくださるそうです。」


先ほど決めた場所に行くと担当のUさんが楽譜とマイクを用意してくれた。
「今日はお二人にぜひ1曲プレゼントしたいと思って、フルートを持ってきました。
曲も美しいんですが、歌詞も素晴らしいんです。
 【あなたはいつも私を勇気づけてくれる】
 【私が困難なときはいつも寄り添ってくれる】
 【あなたと一緒なら高い山にも登れる】
こんな歌詞を思い浮かべながら聴いてください。
You Raise Me Up」

伴奏が流れ始める。ーーーしかし音が小さくて焦る。
ここから、と思って吹き始めたら音が出ない。ーーーさらに焦る。
途中で止まる訳にはいかない。伴奏とずれていようととにかく音を出す。
間奏部分でズレを修正する。
しっかり練習してきて、目をつぶっていてもほとんど大丈夫と思っていた自信は見事に砕け散り、転調したところからも違和感があるし、最後の最後にrit.とフェルマータで伴奏と同じところまで伸ばして終わろうとしていたのも、なんだかよく解らなくなった。

「二人、手を取り合って幸せな家庭を築いていってください」と、いちおう形を作って締めた。

自宅で練習をしたときは主役を、そして会場全体を見渡して、リズムに合わせて少し体を揺するくらいの余裕があると思っていただけに、ショックは大きい。


参加者からは「こういう場所で独奏できるなんてすごいね!」
とか、「ちょっと先走っていたけど、きっといい経験になったね。」
あるいは「伴奏なしでやればよかったね。」


主役の二人からは「本当にサプライズだった、すごく良かったよ。」

曲としては情けないものになってしまったが、この場所で演奏をしたというその事自体を高く評価してくれた。

うまくできなかったことが、逆に親近感を覚えたようで、いろんな人が話しかけに来てくれた。
肩肘張らない和気あいあいとした披露宴。
スタッフ全員によるハッピーウェディングソングのプレゼントもあったりして、素敵な結婚式・披露宴になった。



あれだけ高い確率の雨の予報も、不思議なことに披露宴会場から見る海の上は薄曇り程度。
結婚した二人にとっても、記憶に残る結婚式になったことだろう。

それにしても、今回は身内の結婚式の余興ということで許されたが、もう少し身の程をわきまえなければいけないと痛感した。


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