花と音楽のある暮らし

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2022年3月8日火曜日

精神の目をひらけ




最近読んだ本は、「黒牢城(こくろうじょう):米澤穂信著」と「塞王のたて(木ヘンに盾):今村翔吾著」、いずれも昨年の直木賞作品。
ずっと予約待ちで、やっと回ってきた。

両方とも戦国時代の武士や城にまつわる物語。

とくに「黒牢城」は織田信長に謀反を起こした荒木村重と、謀反を翻意させようと説得にあたった黒田官兵衛の話。
謎解きが相まって読み応えのある作品になっている。

「塞王の盾」はまだ読みはじめたところだが、かなり分厚く重い本だ。



先週の土曜日、 Spring Jazz を聴きに行くときに電車の中で読むのにと、手にしたのが、「車谷長吉さんの飆風(ひょうふう)」。
薄い文庫本でポケットに入れても重くない。

しかし最初の短編「桃の実1ケ」を読みはじめた途端、強烈なインパクトに圧倒された。
その後に続く「密告(たれこみ)」や「飆風(ひょうふう)」は完全に私小説で、虚実入り乱れているとはいえ、その生き様は尋常ではない。


「精神の目をひらけ」は、中学校の卒業の寄せ書きに書いた言葉。
と言っても自分で考えたわけじゃなく、何かかっこいい言葉はないかと、どっかの本から拾い出しただけ。
本人はその時もそれ以後も、いたって呑気にその場その場をやり過ごして生きてきた。

「飆風」を読むと、精神を研ぎ澄まし物語を作り上げてきた著名な人たちが、精神のバランスを欠いてしまう。そうして自殺した作家の名前もいくつか上げている。
車谷氏本人も、不安。緊張感。圧迫感。嫌悪感。恐怖感にさいなまれ、強迫神経症という病名がついた中で、作家活動を続けてきた。

我々凡人は、そこまで自分自身を追い込むことはできないが、できることなら、そういう作家の魂を感じながら、作品を味わっていきたいものだ。

車谷長吉氏の直木賞受賞作「赤目四十八瀧心中未遂」や、彼が絶賛する「楢山節考」も近々読んでみたいと思う。

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